CASE.05
エンゲージメント向上のカギを握るジョブ・クラフティング
~ SIerでの導入事例 ~

事例企業の基本情報
- 業種:
- SIer(システムインテグレーター)
- 規模:
- 350名
- 対象者:
- 管理職、リーダー、メンバー
大手メーカーの情報システム子会社
Background
背景
伴走サポート前に社長・管理本部長からお聞きしていたこと
- 新卒入社3年間の育成制度は充実していて離職率は低い(3年で5%)
- 中堅エンジニアが同業他社に引き抜かれる(離職率が上がっている)
- 中途採用(キャリア採用)者は、即戦力として現場に放り込まれるが、立ち上がりが遅い
- 「この会社で働き続けて、私はどこまで成長できるのだろう?」という不安の声が中堅層から挙がっている
- マネジャーはタスク管理はできるが、メンバー育成等のピープルマネジメントが上手くない
ここ数年の間に講じた施策(主にハード系の打ち手)
- 管理職とメンバーの1on1ミーティングを導入
- 社員間で「感謝の意」を伝え合うコミュニケーションツールを導入
- 処遇改善(給与UP)
- ワークライフバランスを重視した勤務制度を導入(スーパーフレックス)
- メンター制度を導入
それでもなお解消されない課題(+新たな課題)
- 「1on1しても話題がない、部下が話をしてくれない」という嘆きが管理職から出てくる
- 「若手は権利を主張するが、やるべきことをやっているのか?」という声がリーダー層から聞こえてくる
- 離職者面談すると「管理職以外のキャリアが描けないので」という声が多かったので、スペシャリストの道を設けた。
その反動で、マネジメント志向の人材がますます減ってしまった(元々、管理職になりたがらない人が多かったが・・・)

Point
MPの切り口
(課題解決の着眼点)
「エンゲージメント向上に、上下一体となって取り組む」
・・・ エンゲージメント向上 = 管理職のマネジメント・アップデート × メンバーのジョブ・クラフティング
- エンゲージメント向上策は、上(管理職)が先導して取り組むものではあるが、上だけが奮闘し、下(メンバー)は受け身ということでは施策は空回りする
- メンバーも自職場における「エンゲージメント向上の当事者」として関わってもらう
*社長のこだわり:「やり甲斐が持てないのは会社・上司のせいだ」という評論家的な態度があってはエンゲージメントは高まらない。

Result
効果&波及効果と今後の展望
- 管理職・リーダーの声(抜粋)
- 職場づくりについてメンバーと本音の話し合いができた。自分の悩みを話してみたところ、メンバーから「一緒に解決したい」という話を聞けた
- 職場づくりの活動状況を管理職同志で共有する定例会で、お互いの悩みを分かち合ったり協力し合えることが増えて心が軽くなった
- 抱え込んでいたタスクを振り分けたところ、メンバーから「もっと早く任せてくれたら良かったのに」と言われ頼もしく感じた
- メンバーから管理職を巻き込んでくるアプローチが増え、現場から変わろうという意思を感じる
- メンバーの声(抜粋)
- 与えられた仕事をポジティブに意味づけすることで、モチベーションを維持することができた
- ネガティブなフィードバックでも自ら求めていくことで成長の機会が増えると実感した
- 「やるべきことをやって信用を得ることで、やりたいことに挑戦することができる」と考えるようにしよう
- 仕事をクラフティングしている同世代の挑戦事例を知り、自分の仕事にもまだまだ工夫の余地があると思った
- 経営陣が認識する波及効果(抜粋)
- まず管理職のエンゲージメントスコアが上がった。経営陣と管理職で話し合う場を増やしたことが大きく影響していると解釈している
- エンゲージメントスコアの部署間格差は、管理職のマネジメント格差だろう。相変わらずトップダウンのところはスコアが上がっていない
- 1年遅れて非管理職のエンゲージメントスコア(特に職場に対するスコア)が上がった
- 管理職はメンバーを理解しよう、メンバーは管理職を理解しようと、お互いに歩み寄りが見られるのは良い傾向
- 今後の展望
- 評価制度の運用改善
=フィードバック面談が、査定結果の通知で終わらず、動機づけと育成の場となるように - マネジメント人材育成の早期化
=複線型人事を機能させるには、キャリア選択の手前の手前からマネジメントを習得する機会が必要
- 評価制度の運用改善
