マネジメント / リーダーシップ

これからのリーダーシップはどうあるべきか?

これからの時代マネジメントよりも、リーダーシップの方が重要であるとの見解もあります。今後、リーダーシップはどうあるべきなのか?について考えていきたいと思います。

【リーダーシップとは】

  • リーダーの「共感力」についての3つの誤解
  • メンバーを巻き込むリーダーのモチベーションはどうあるべきか

リーダーの「共感力」についての3つの誤解

昨今、リーダーに「共感力」が必要であると言われます。しかし「共感力」という言葉は、誤解されがちです。誤解の中身を知り、リーダーの持つべき真の「共感力」とは何かについて述べます。

「共感力」は誤解されている

昨今、リーダーに「共感力」が必要であると言われます。しかし「共感力」という言葉は誤解されがちです。誤解の中身を知り、そこからリーダーの持つべき「共感力」とは何かを深めていきたいと思います。

リーダーとメンバーという「1対1の関係」の中で発揮される力である

「共感」という言葉は、「喜怒哀楽の共有」という意味を持っています。だから、共感力のあるリーダーとはメンバーと共に笑い、共に怒り・・・チームを盛り上げるリーダーのことだと誤解されることが多くあります。

そうではなく、リーダーの目の前に、一人のメンバーがいて、そのメンバーに向かって発揮される力が共感力です。最近1on1(=1対1)ミーティングという言葉がよく聞かれるのも、このためかもしれません。

リーダーが共感的理解だけでなく相手の視点や立場を理解できる力のこと

目の前にいるメンバーが顧客に嫌味を言われて悲しんでいるとします。そのときリーダーが「わかる、わかる。私の時は価格でネチネチ言われてね、すごく悲しかったよ」と言っている、これは「共感力」ではありません。

なぜなら、メンバーの体験から始まった話が、リーダー自身の体験談にすり替わってしまっているからです。

そうではなく、共感力があるというのは、「悲しかったのだよね」という「相手の感情に寄り添える力(共感的理解)」が出来るということです。また、ここも誤解されている点ですが、「共感的理解」が出来ることだけが共感力でなく、

「で、どうなるのが理想だと思っているのか?」「あなた自身はどうしたいのか?」等、感情を横に置いて、相手の視点や立場を理解できる(認知的理解)のがリーダーの共感力です。

安心感を持たせ相手の力を引き出せてこそ

「悲しかったね」「価格以外のメリットを提案すれば、A社からの受注のチャンスはあると君は考えているのだね」と口に出して言えることがリーダーの共感力だという誤解があります。

そうではなく、メンバー自身が、「自分の存在は認められている」という安心感が持て、「ならば思い切って意見を言ってみよう」「こんなことをしてみよう」と、メンバーの持てる力を引き出せてこそ、共感力があるリーダーと言えます。

そのためには、「言葉」ではなく「ノンバーバル(非言語)」なコミュニケーションが大切です。リーダーのメンバーと向き合っている時の態度、目つき、相槌、沈黙、リアクション・・・実はこういったものが相手に安心感を与えます。メンバーの力を引き出す共感力に不可欠なのが、ノンバーバルなコミュニケーションなのです。

メンバーを巻き込むリーダーのモチベーションはどうあるべきか

リーダーは変革に向かって「メンバーを巻き込む必要がある」と言われますが、それには「おもしろい!」とリーダー自身が思うこと、そしてそれをメンバーに「言葉」にして伝えることが重要です。

これらからのリーダーのモチベーションの原点は「これ、おもしろい!」

今までのビジネスモデルや過去の常識が通用しないなど「変化が当たり前」の今、各企業や組織にとって、新しいアイデア創出やビジネス創造は不可欠になっています。

また、これらのアイデアや創造性は「上下関係」「依存関係」といった人間関係からは生まれません。かといって、皆が「誰かアイデアを出してくれるだろう」と思っていてもうまくいきません。

そこで変革を推進するリーダーの登場が組織で熱望されるのですが、

  • アイデア創出やビジネス創造は決して楽な事ではない

  • アイデアを出すだけではなくそれを成果に結びつけるにはさらに厳しい道が待っている

などの不安や恐怖から尻込みする人も多く、リーダーになってからも困難に直面し、挫折し、諦めてしまう人もいます。確かに、楽な道ではないかもしれませんが、だからこそ「これ!おもしろい!」と言って、楽しんで仕事に取り組めるかどうか?」が、これからのリーダーのモチベーションの原点であると言えるのです。

巻き込まれるメンバーのモチベーションも「これ、おもしろそう!」

アイデア創出や新しいビジネス創造をたった一人でやり遂げることは不可能です。それには、周囲の協力や理解だけでなく、リーダーのアイデアに対してさらにアイデアを出すといった、互いに創発に向かうような人間関係が必要です。

そういった創発を生むような人間関係でリーダーとメンバーがあるためには、「上下関係」や「権限」をチラつかせ「依存関係」に持ち込むのではなく、メンバーに「これ、おもしろそう!」と思わせて、高いモチベーションのまま、対等な人間関係を作る、「巻き込み力」というべきものが必要なのです。

つまり、リーダー自身がおもしろがり、そのおもしろさを言葉にして、メンバーに伝えて巻き込んでいく、そんな力が今リーダーに求められているのです。

「おもしろい!」とはどういうことか?

では、これからのリーダーのモチベーションを高め、周囲を巻き込む際のカギになる「おもしろい!」というのは、いったいどういうことでしょうか?

「おもしろい!」・・・英語ではfunという単語がありますが、これは同じ「おもしろい」でも「愉快とか」「楽しい」といった感情的なニュアンスが強いと聞きます。

そういう気分もリーダーのモチベーションには大切ですが、今回お伝えしている「おもしろい」は英単語で言うとinteresting。つまり「興味深い」とか「洞察が深い」とか、あるいは「ユニークな発想だ」とか「今までにないものだ」などのニュアンスのものです。

「変化が当たり前」の時代には、その創造性が問われ、「愉快だ」「楽しい」だけでは成果には結びつけられません。過去・現在・未来を見据えた結果生まれる、いわば「洞察」そのものが、「おもしろい」と人に言わせる元でなければならないのです。

12の「おもしろい!」

リーダーのモチベーションを高め、周囲を巻き込む「おもしろい!」には具体的にどんなものがあるのでしょうか?社会学者のマーレイ・デイビスが述べていることを参考に、以下に挙げてみたいと思います。

下記に挙げたことは、それぞれが相互に関連する場合もありますし、またそれぞれが、前述した、「くすっ!と笑ってしまう」方の「おもしろさ」・・・いわゆるfunに繋がる事でもあります。

リーダーがメンバーに、「言葉」として「おもしろさ」を伝える際の参考になさっていただければ幸いです

  1. 何の規則性もないと思う事に実は規則性があった。あるいはずっと規則性があると思われていたがそこには何の規則性も無かった(規則)
    例:実はトウモロコシの粒には規則性があり、すべて「偶数」である

  2. 構成要素(原因)は複数あると思われていたが実は1つだった。あるいは構成要素(原因)は1つだと思われていたが実は複数だった(要素)
    例:契約が取れた原因は「粘り強さ」だけでなく「相手がキーマンだったこと」「タイミングが良かったこと」も関係している

  3. 個別事情で起きている現象だと思っていたが実はそれよりもメタ(高次)な事が原因で起きていた。あるいはメタ(高次)な事が原因で起きていると思っていた事象が実は個別の事情によるものだった(メタ)
    例:会議で彼が発言しなかったのは「心理的安全性」が組織にないからではなく、単に体調不良だったからだ

  4. 特殊だと思っていたことが、実は普遍的なことだった。あるいは普遍的だと思っていたことが実は特殊だった(普遍)
    例:電車で立っている時に窓ガラスを見て髪を直すのは彼がナルシストからだと思っていたが、実は彼のような20代の男性のほとんどが同じ事をすることが分かった

  5. 絶対変わらないと思われていた事が、実は変わっていた。あるいは変わっていると思われていた事が実は変わっていなかった(変化)
    例:今や組織の寿命よりも人間の寿命の方が長い(ドラッカー)

  6. 非効率だと思われていたやり方が、実は効率的だった。あるいは効率的だと思われていたやり方が非効率だった。(効率)
    例:フェイス・ツー・フェイスの会議よりもWeb会議の方が効果的

  7. 「良くない」と言われていた事が実は良い事だった。あるいは「良い」と言われていたことが良くなかった(評価) 
    例:朝礼の廃止

  8. AとBは無関係だと思われていたが実は関係があった。あるいは関係があると思われていたが無関係だった。(関係)
    例:顧客は紙おむつとビールを一緒に買う傾向がある(米国スーパーマーケットでの実験)

  9. 共存できると思っていた事が共存できていなかった。あるいは共存できないと思っていた事が共存できていた(共存)
    例:コストダウンとサービス品質

  10. 正の相関関係があると思われていた事が実は負の相関関係だった。あるいは負の相関関係だと思われていた事が正の相関関係だった(相関)
    例:「綿密な計画」であるほどその成功確率は下がる(キャスリーン・M・アイゼン)

  11. 同じと思われていたものが実は別モノだった。あるいは別モノだと思われていたものが実は同じモノだった。(相違)
    例:血液と母乳

  12. 結果と思われていた事が実は原因だった。あるいは原因だと思われていた事が結果だった。(因果)
    例:「裏切るから信頼できない」のではなく「信頼しないから裏切る」のである

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